ただ歩き続ける
公開日:
:
最終更新日:2016/09/03
et cetera
春に散る(朝日新聞連載小説:沢木耕太郎) 最終回より
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意識が薄くなっていく中で、閉じた眼の奥に、この花の道を歩きつづける自分の後ろ姿が見えたような気がした。顔を上げ、ただ歩いていく。桜の花びらが雪のように散る中をゆっくりと遠ざかっていく。
――そうか、そういうことだったのか……。
広岡は徐々に薄れていく意識の中で思っていた。そうか、自分は、ただ歩いていきたかっただけなのだな、と。何かを手に入れるためでもなければ、何かを成し遂げるためでもなく、ただその場に止(とど)まりたくないという思いだけで、ここまで歩きつづけてきたのだな、と。
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最後の一文がよくわかった。
数ある生き方の中の一つ。
ほかの生き方を否定するものではない。
周りからは「考えずに流されている」と見えるかもしれないが、
「何かを手に入れよう」や
「何かを成し遂げよう」の発想はない。
「ただその場に止まりたくないだけ」で動いている。
もし目的があるように見えるのであれば、
「私のほかには○○に気づいている人は数少ないようだ。ならば、私がしなくては」
程度のこと。
こういう僕はコーチをしているが、
コーチングのクライアントになったときに扱いづらい生き方をしている。
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